持ち家の相続で悩まれる方が多いです。
「主人が残してくれた土地と家、妻である自分が相続したほうがよいのか、今後の手続きのことを考えると、子どもに相続させたほうがよいのか……」というお悩みにお答えします。
この記事を書いた人:税理士 本田光
目次
妻が相続?息子が相続?
Q このような場合は、自宅は誰が相続するのがよいでしょうか?
被相続人:夫
相続人:配偶者(妻)、長男(独身)、長女
自宅には私(妻)が住み続けます。
A 奥様が将来亡くなられたときに、奥様が相続された自宅は相続財産となり相続税の対象となります。この「二次相続」のことを考えると、ご主人の相続のタイミングで奥様をとばしてお子様に自宅を相続させるという考え方もあります。
しかし、基本的には、ご自宅に住む方が相続されるのがよいと考えます。
住み続けられる奥様が相続されるのがよいと思います。
妻の相続を勧める3つの理由
- 現在のご自宅が戸建てで、将来住みにくくなった場合に、自宅を売却して、その売却資金で利便性の高いマンションを購入し住み替えたり、または売却資金で老人ホームなどの施設の入居費用に充てることができます。
ご主人が残されたご自宅と言うのは、奥様の生活を守る財産でもあります。 - 仮に、現在ご長男と一緒に住んでいるとしても、ご長男の状況が変化(結婚など)することにより一緒に住まなくなる可能性があります。
- 仮に自宅を長男さんが相続した場合、法律的には長男さんに自宅を借りている状態になります。
◎ご主人の残された金融資産がたくさんあり、奥様のこれからの生活資金に不安がない場合で、かつ、どうしてもご長男に相続させたいという場合は、「配偶者居住権の設定」を検討されるのがよいと思います。
所有権はご長男ですが、居住権(住む権利)は奥様とすることができます。配偶者居住権は登記することもできます。
まとめ
一番大事なのは、奥様のこれからの生活基盤だと考えます。
居住及びこれからの生活資金が奥様の手許に残る形が良いのではないでしょうか。
また、奥様ご自身の相続時に、ご長男(又はご長女)に自宅を渡したいというお気持ちであれば、遺言書を作成することをお勧めします。
なお、上記回答は当事務所が考える基本の考え方になります。
家族構成、年齢、家族の状況、財産の額及び構成、想い、税金などの個別事情により最適な分割方法は変わります。お一人として同じ状況の方はおられません。
具体的な相談は、税理士にご相談されることをお勧めします。
当事務所でも相続の申告業務も行っており、遺産分割のご相談も対応しております。
お困りのことがあればご相談ください。